課長さんはイジワル2
「僕が出します。いえ、出させて貰えませんか?」


頭を下げる課長に周囲の視線が集まる。


「愛は……どがんしたかとね?」


足が治る。

もし、本当なら治したい。

もし……

それが本当なら……。

でも……

首を横に振る。


「私だけ足を治して元の生活に戻るなんて、ノリに申し訳ないよ」

「前を向いて歩くんじゃないの?」

「課長……」

「ノリのことは、忘れる必要は無い。
だけど、愛があらゆる未来の可能性を拒絶することは、ノリも喜ばないんじゃないかな?」

「杉原さん、治療すべきだよ!」

安田が立ち上がる。


「ここは佐久間に甘えていいじゃないの?」

吉田さんがお寿司をキッチンで出しながら頷く。


「俺っ、愛ちゃんの生足、見たい!」

押尾さんが手を挙げ、みんなの冷たい視線を一身に浴びる。


課長がふっと笑う。


「俺も見たいな。膝から下が長~~~くてまっすぐに伸びた綺麗な愛の生足」

「課長……」

「ゴ、ゴホン!ゴホン!!」

はっ!

いけない。

見詰め合う二人の世界に、とぉちゃんが猛烈に抗議の咳を立てる。


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