課長さんはイジワル2
「もっと遠くじゃ」

「変なノリ。じゃ、そこに行く途中までのついでで良かけん」

「ダメじゃっちゅーたらダメじゃっ!」

ノリの大声にびくっとなる。

「あ。す、すまん。すまんの、愛。だけど、ダメじゃ。
お前は、あいつんとこさ戻れ」

「あいつ?」

「あいつ。完敗めがね」

「カンパイ……メガネ?誰?それ?」

「目が覚めたら思い出せるたい。じゃ、おいは行くけん」


ノリが私の頭をクシャクシャにする。

でも、その目がすごく寂しそうで、今にも発車しそうな車の運転手席のドアにしがみつく。

「ノリ、やっぱり、私も乗せて!」

「いかんて。お前はまだまだこれからうんとこさやることがあるじゃろが」

「ノリは?ノリだって……」

「おいは、良かと。後はヤスがおいの夢を継いでやってくるっけん」

「ヤスって?ヤスって誰ね?」

それには答えずにノリが車を発車させてしまう。

「幸せになるとぞ!おいはお前の笑顔が一番大好きじゃった」

「ノリ!ちょっ、待って!!ノリーーーーッ!!」

ノリを乗せた車が道から離れ、ふわりと浮いたかと思うと空に向かって走り始める。




< 463 / 522 >

この作品をシェア

pagetop