課長さんはイジワル2
それに……上手くなってる。


とぉちゃんもかぁちゃんも周りのダンサーに比べたら、幾分、体の線がテプい感じがするけど、でも、息がぴったり合っていて、勢いがあって見ていてワクワクする。


結果は堂々の3位入賞。

すごい!


家族でテレビにくぎ付けになっていた頃、玄関の戸がガラガラと開き、「ただいまぁ~」と田吾作にいちゃんの声がして、ドカドカと足音を立てながら茶の間に入って来る。


「おーーー。愛、お帰り」

「ただいま。田吾作兄ちゃんもお帰りなさい。安田を送ってくれてありがとう」

「ああ……。気にせんで良か」


田吾作兄ちゃんの頬がぽっと赤く染まる。


ぽっ?

ぽっ、て何?


不安になる私の横で与作にぃちゃんが私の肩を叩く。


「愛、相変わらず細かけど、ちゃんと食べとっとね」

「食べてるよ、ちゃん……と」


与作兄ちゃんの質問に答え掛けて、言葉が引っ込む。

テレビでは、次のドキュメンタリー番組が始まってて、与作にぃちゃんの肩越しに映像を観ていた私は、その番組に釘付けになる。


「愛?どうしたとか?愛?」



知ってる。

私は……この人を知ってる。



でも……


まさか……



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