約束ラバーズ
祭
頭をよぎる。
金山さんみたいな子を好きになっていたら、ーーー
『あの、せっかくだし、まわらない!?
お祭。』
「うん、そうだね。」
駅からの狭い道を肩を並べて歩く。
視界の端には深紅の浴衣。
すると対向車線の歩道に見慣れた顔。
相手が気づく。
『ジローちゃん!!!』
駆け寄ってくる。
会いたくない相手だ。
「…渉」
『俺、何回も連絡したんだけど』
その目は怒りの色を帯びている。
「知ってるよ」
その背後、人影が見えた。
『誤解されたくないから言うけど、亜希ちゃんも来てる。
落ち込んでたから、連れ出した。』