約束ラバーズ


『ジローくん…』

「亜希…」


薄黄色の浴衣を着た亜希は
髪の毛を綺麗に編みこんで片側の耳元でお団子にしている。


4人の間に沈黙が流れる。

口を開いたのは金山さんだった。

『これから、お祭回るの。

もう行くね。』


『う、うん、また…』

亜希が答える。




金山さんが僕の手を引き、歩き出す。



2mほど歩を進めたところで振り返る。


「亜希、」


気付けば彼女の名前を呼んでいた。


綺麗に編み込まれた髪。

亜希が振り返る。




「浴衣、とても似合ってる。」



微笑む。


亜希が目を見開いた。




向き直り、また歩き出す。


金山さんは僕を見つめたまま立ち止まっている。

< 78 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop