Snow Noise

「もうっ、我が儘なんだから」


拗ねた顔をして見上げれば

黙ったままでも口角の上がった形の良い唇が


「璃奈、―――」


私の名前を、呼ぶ。


ああ、―――。

私はこの声に弱い。


この声で名前を呼ばれると、大概のことは許してしまうんだ。



〈ニュースです。
昨夜、神奈川県横浜市青葉区の公園で女性とみられる白骨化した遺体が見つかった事件で……〉



さっきまでの爽やかな笑顔とはうって変わり、真っ直ぐに視聴者に向けてニュースを読み上げていく彼女と、テレビ越しに目が合った。



〈遺体は死後2年から3年ほど経過しているとみられ、神奈川県警は死体遺棄事件として捜査本部を設置。DNA鑑定を元に死因や死亡時期を調べるとともに、身元確認を進めていく模様です〉



「なあ、璃奈、―――」

「んっ??」

「ずっと俺のそばにいてくれるんだよな?」



その刹那、―――。


心臓を鷲掴みにされたかのような胸の痛みに襲われて。
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