Snow Noise
「うわっ、湯沢じゃない。新幹線止まってたのね」
テレビに越後湯沢の駅が映し出されると、懐かしさで胸がいっぱいになった。
「もう全然帰ってないなあ」
真っ白に染まる雪山の、山頂に向かって伸びるリフト。
毎年この時期になると晴れた朝にはダイヤモンドダストが見れて綺麗だった。
「来年こそは帰らないとなあ」
あれ、来年、―――??
私、何年帰ってないんだっけ??
「ねえ、臣君、――― スキーしたことある??」
「……」
「来年は一緒に行けるといいなあ。 温泉もあるし、ねっ??」
ぼんやりとアナウンサーの顔を見つめたまま、臣君は動こうとはしない。
確かに可愛いけど、―――。
そんな釘付けになるほど可愛いかな。
ちょっとしたヤキモチが芽生えて、私はツンと唇をとがらせた。
「…なあ、―――」
不意に、―――。
ぽつんと吐き出されるかのように呟いた、声。
「返事、してくれよ……」
もうっ、―――。
さっきまでずっと、無視してたくせに。
臣君はいつも勝手なんだから。