恋するキオク




―――陽奈side―――




私はずっと、忘れてしまった記憶にばかり気を取られてた。

何があったのか、どんな毎日を過ごしていたのかが、気になって…



でも本当に大切だったのは、忘れられなかった想いの方。

どんなことが起きても残り続けた、恋の絆。



その相手を、私はもう分かってる。

私の消えた記憶のせいで、一度は終わってしまったけど、それが最後の結果じゃないから。



カイとユリアが、星になってからも想いを繋げていたように、私も信じることですべてを待っていられる。

それが永遠だったとしても、長過ぎるなんて思わないから。

だってその間は、ずっと恋を続けていられるってことでしょ?



さよならは、終わりじゃない。

この瞬間までの時間との別れ、新しいスタート。



最終章は、
未来への始まりなんだって…




――――――――――――





「伝えること以外必要ないよ。圭吾くんの音だ。ありのまま聞かせればいい。…あー、でもオレも行きたいよな〜っ!オレ一番のファンだし」



沢さんはそう言いながら、急に子供のように地団駄を踏む。

オレはゆっくりと、自分の指を眺めた。



祖父ちゃんからもらった指と、あいつらが用意してくれた会場と。

本当にすべてが、オレを繋げてくれてるんだと思う。




「沢さん…、オレもさよならするよ。昨日までの運命と」



そしてここからは
オレ自身で、道を造るから。




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