恋するキオク
中でも茜はよくオレに構ってくれてた。
他の奴らとすぐに打ち解けられたのも、茜のおかげって感じかもしれない。
「家に居にくい時はあたしん家来なよ。圭吾の面倒くらい見てあげるし」
「偉そうに言うな。そんなに歳変わんないだろ」
オレがそんなことを言うと、いつもクスッと照れ笑いして。
たまには学校にも出ろって、親みたいなことも言ってた。
「学校やめたら絶対後悔するって。顔出すだけでもいいじゃん」
そんな毎日に、なんとなくここで落ち着いてもいいかなとも思い始めてたんだ。
今の仲間といれば、それなりに楽しめるかなって。
「圭吾、ずっとうちらと一緒にいなよ」
でも実際は、そうでもなかったのはなんでかな。
オレはやっぱりどこかに不満がたまっていて、省吾を見かければその思いが溢れ返って。
「圭吾、たまには学校出ろよ。母さん心配してるし、祖父ちゃんにだって迷惑かけるだろ」
省吾の隣にいるアイツ…野崎のせいもあるのかもしれないけど、満足げな省吾を見るたびに孤独を感じてた。
なんで省吾だけが、あんなに伸び伸びと生活してるんだ。
「なんか今日は音が荒れてるぞ、圭吾。なんかあったのか」
「別に。何もないよ」