恋するキオク
オレは勢いよく扉を開けて外に出た。
それからすぐに茜の手を取り、みんなの元を後にして茜の部屋へと足を速めたんだ。
「圭吾っ、な、なんだよ!どうかしたのか?」
「…さっさと歩けよ」
オレが必死で抑えてきたことに、簡単に口を出されたのが気に入らなくて。
いや、そういうんじゃないかもしれないけど。なんていうか、悔しいっていうのかな。
そんなこと言われたって、今のオレにはどうすることもできなくて。
それが、すごくもどかしくて。
「善矢。圭吾の奴、ちゃんと納得した?」
「さぁ、どうかな。でもあいつの不器用さには同情するよ。…バカなことしなきゃいいけど」
茜の部屋は、活動した後のみんなのたまり場みたいなものだ。
そのまま騒いで、みんなで泊まっていくこともよくある。
考えてみれば、たしかに二人で泊まることなんてなかったな。
「だから…何なんだよ……」
「え?何言ってんだよ圭吾……って、うわっ!」
部屋に着くなりオレは茜をベッドに押さえつけ、そしてその体の上にまたがった。
静かなはずの部屋の中で、オレの動揺の鼓動がうるさく耳につく。
「お前が泊めたんだからな」
後から文句を言われるのはごめんだ。
オレは先に茜に承諾を求めた。
すると茜は、下からじっとオレを見つめて
「圭吾……」
「なんだよ」
「お前、泣いてるみたいだ……」
「っな、…なに言って」
オレが一瞬体を硬直させると、茜は自分の腕をオレの首に絡めて。
それから深く、唇を重ねてきた。