あの日の教室、1人の少女、机と椅子と黒板と。~5人の少女の物語。~
夕暮れ時の地下鉄の駅Ⅲ
「ななみ」

「ん?」

「お化粧、なんでしてたの?」

「んー、

だってさ、

会うの久しぶりじゃん?

かわいくしたくなるでしょ?」

いつもななみみたいにカラーリップを塗ってるうえ、

多少スカートを上げて、

ハイソを履いといて言えないけど、

私には久々だからかわいくしたい、というのは解らない。

ななみの花束を見ると、

本当に色とりどりの花があった。

喜ぶ、だろうな。

そう思って私たちは坂を下り続けた。
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