同居双子
荒み
周や涼と出会う前



その頃の私は荒んでいた




リストカットの繰り返し




誰も見てくれない



さみしい




息が苦しい



そんな毎日だったんだ






ーーー
「凛ちゃん〜 晩ご飯だよ」
周が呼んでいた

「はーい。行く〜」
部屋から出てみるとそこは真っ暗


「涼、周?暗いよ〜?」

シーン……


反応がなかったので手で壁を伝って
リビングに行った


するといきなり



ーーパンッ
聞きなれない爆発音がした
同時に明かりが点いた

「凛ちゃん座って〜」
周が優しそうに喋った

これって…まさか…
「周、涼。これなに?」

「凛香の歓迎会」

「僕たち頑張ったんだよー」

涼は平然として、周は嬉しそうに言った


そこには涼が作ったらしい料理が並んでいた。


これを1人で…?

女子力たっかい!!

それはもうお嫁さんに行けれるレベル…




でもこんなことしてもらったことない…


こうゆう時どーすればいいか

わかんないや。


でも、嬉しい!

「ありがとう!嬉しい。」
私は今できる一番の笑顔で言った


すると

「べ、別に。これくらいできるし」
照れている様子の涼


「喜んでくれて嬉しい!」
子供のような無邪気に笑って
抱きついてくる周







「じゃあ食べるよ〜」


ーーーー「いっただきまーす」

その日の料理はとても美味しかった。
「おいしい!涼すごい!」

「そーか?まぁ、ありがとな」

「盛り付けは僕だよー」

「それって意味あるのか?」

「あるし!涼ひっどー 料理バカ」

「料理バカにすんな!」

「じゃあ、涼はバカ」

「はぁ?お前の方がバカだろ」

「僕バカじゃないしー」



ケンカしないでーって言うと
同時にケンカしてないよって返ってくる


やっぱり仲いいんだなぁ。



羨ましい…



楽しい。こんなに楽しいのは久しぶり





ーーーお風呂に入った

お風呂は落ち着く。
一人でも寂しくないから



ーーパタンッ
ドアを開ける音がした



「凛香?タオル置いとくから」

ドア越しにいきなり声をかけられた




ーーバシャ
びっくりしてお風呂の中から滑った



「凛香?大丈夫か?」
ドア越しに聞こえてくる声



涼がいきなり入ってくると思わなかったから…

涼のせいだよ!

「うん、びっくりしただけ」

それで済ませとく!


でもタオル置きに来ただけなのに
悪いことしちゃったな…

涼はなんとも思ってないのに
でも、気が持ちそうにないよ…



やっと部屋戻れたーー
今日からだけど、家具の配置は変わっていない。

懐かしい感じがする


今日はいろんなことがあったから忘れてたけど…



「おかーさん…」
手を伸ばしても届かないってわかってる


でも、
「さみしいよ…」

前からのことだけど…




私はいい子だったよね?

なんで置いて行くの

苦しくて、辛い

息ができない。

なんで…


そう思ってカッターを取り出した
そして手首に構えた






その瞬間ドアが開いた






「凛香、聞きたいことが…」
入ってきたのは涼だった




一瞬





私には長い時間




「な、にしてんの?」
引きつった涼の顔



「なに固まってんのー?」
気になった周が覗き込んできた



タイミングが悪かった…


「おい!なにする気だよ?」
状況を理解した涼



「どーしたの?凛ちゃん?」



ーーガシッ
腕を掴まれた私。


カッターを取り上げようとしてくる涼

「嫌!やめて!やめてよ!」
泣き叫ぶしかできない私

やめて

嫌!

お願いだから

これ以上奪わないで

私にはそれしかないの

苦しい…

辛いの

もう嫌だよ

「涼。やめろ」

周の低い声



初めて聞いた
低い涼と同じ声



「でも、渡したら……。」
それ以上は涼は何も言わなかった



「凛ちゃん。だいじょうぶ。だいじょうぶだからね」
小さな子供をあやす様だった

抱きしめて背中を優しく叩いてくれた

「ごめんなさいっ。ごめんなさいっ。」
謝るしかできない


「凛香。ごめん」
そう言って涼は部屋を出て行った


「僕はなーんにもしないから、
だいじょうぶ。」

「ごめんなさいっ。ひっくっ、」

私から嗚咽がもれた
泣いて泣いた


だって

切らないと苦しいの


分かって欲しいけど


みんな分かってくれないの


それが辛いの
















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