2人だけの秘密。


…………



それからしばらくして、ようやく鏡子のマンションに到着した。

そして俺はエレベーターに乗ると、鏡子の部屋がある6階のボタンを押してそこに上がる。

さすがに今の時間帯だとエレベーターを使う人はいなくて、そこは俺一人だけしかいなかった。



………なのに。



ようやく6階に到着してエレベーターの扉が開いたかと思えば、その時すぐに黒いキャップを被った若い男が俺と入れかわるように乗ってきた。

肩がぶつかってしまったから、「すいません」って謝ったけれど、男は何も言わずにすぐにエレベーターの扉を閉める。

それに、被っているキャップもより深く被って顔を見せないようにしているから、何だか怪しい感じがした。



?…っつか、あの人何処かで…。



だけど男を乗せたエレベーターはもう行っちゃったし、それよりも早く鏡子に会いたい俺はエレベーターに背を向けると、鏡子の部屋に向かった。

602号室だからすぐに到着して、俺は合鍵をポケットから取り出すとガチャガチャとそれを開ける。


でも……



「?」



開けたはずが、何故かドアの鍵が逆に締まってしまった。




……もしかして鏡子、鍵かけ忘れたのか?


< 128 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop