2人だけの秘密。
その言葉に、嬉しさが込み上げる。
この空間が幸せすぎて堪らないあたしは、いつものキスを待つようにそっと目を閉じた。
……でも。
「…?」
いくら待っても、いつものようなキスが降ってこない。
そのことに疑問を感じてあたしがまた目を開けると、目の前にはあたしを愛おしそうに見つめている君がいて…。
君はふいにあたしの頬に触れると、優しく微笑んで、言った。
「やっと…」
「?」
「やっと、会えるんだね」
君はそう言うと、あたしの唇をそっとなぞって優しいキスをした。
「!」
キスをした直後、現実に戻って目が覚めた。
あたしはまた、君の夢を見てしまったらしい。
時計を見ると、時刻はまだ夜中の2時過ぎだった。
広喜くんはあたしの隣で、ぐっすり気持ち良さそうに眠っている。
そんな広喜くんを横目に、あたしはついさっきの夢のことを思い返してみた。
“やっと、会えるんだね”