2人だけの秘密。


俺がそう問いかけると、鏡子はビク、と肩を震わせる。

しかも痛そうにしているそれの存在に、嫌な予感を覚えた俺は少し震える声で言葉を続けた。



「…もしかして、誰か来た?」

「!」

「鏡子、さっきから変だよ。ちょっと驚かせただけですげービックリするし、今にも泣きそうな顔してるし…」

「…、」

「なぁ、本当の言えよ。誰が来たんだよ、この前の奴らか?」



そう問いかけて鏡子を見つめると、その時鏡子の左頬に涙が伝った。

だけどそれだけじゃおさまらなくて、鏡子の目から大粒の涙がぼろぼろと零れだす。



「!鏡っ…」



そして俺がその涙を拭おうとしたら、鏡子がそんな俺の手首を掴み、泣きながら言った。



「っ…修、史さん…ごめ、なさいっ…」

「?」

「ごめん、なさいっ…ごめんなさいっ…」



鏡子はそう言って泣き崩れると、俺の手首から手を離してその場でわんわん泣く。

ひたすらそう謝られるけど、それだけじゃ俺が納得できるわけがない。

だんだん心臓が嫌な音を立てだすなか、俺は鏡子と同じようにしゃがみこんで、言った。



「…泣いてちゃわかんないよ」

「…~っ、」

「……」



だけど、鏡子の涙は止まらない。

むしろ、だんだんひどくなっていく。

俺はそんな鏡子を前に、「今はこれ以上何かを聞くのは無理だ」と黙って鏡子を抱きしめようとしたけど…。



「!」



その肩を、何故か鏡子の手によって押し返された。


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