2人だけの秘密。



俺がそう言うと、鏡子がゆっくりと俺を見上げる。

鏡子の身体はガタガタと震えていて、暗くてよくわからないけど目にいっぱい涙を溜めていた。



「!!…修史さん…」



…鏡子…?

そんなにびっくりさせたかな?



「……ご、ごめん。そんなにびっくりするとは思わなくて」



俺はそう言うと、廊下の隅に縮こまる鏡子をその場に立たせた。


…でも、それにしてもびっくりしすぎじゃないか?


俺は鏡子を明るいリビングに連れ戻しながらそう思い、独り首を傾げる。

そしてあまりにも不思議に思った俺は、その時思いきって鏡子の方を振り向いた。



「ね、鏡…」



しかし……



「…!」



振り向いた先にいた鏡子を見た瞬間、俺は少しびっくりして一瞬言おうとしていた言葉を失った。

だって、震えたままの鏡子の左頬だけが、やけに赤くなっていたから。


それを見ると更に黙っていられなくなった俺は、その頬にそっと手を添えて言った。



「…どうしたの?それ」


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