2人だけの秘密。


「?」

「すげー悔しい、」

「…」

「何で、鏡子がこんな目に遭わなきゃいけねぇの」



修史さんはそう言うと、あたしから身体を離して目を合わせた。

だけどその目は凄く悲しそうで、その瞬間また罪悪感が込み上げる。

その言葉にあたしが何か言おうと口を開いたら、修史さんがそこから立ち上がって言った。



「……風呂、借りるね」

「修史さっ…」

「ごめん。少しだけ、独りになりたい」



修史さんはそれだけを告げると、リビングを後にしてしまった…。



「…っ…」



その背中に、あたしは思わず不安を覚える。


このまま…もし、修史さんが離れてっちゃったらどうしよう…。

でも、「悔しい」なら大丈夫だよね?



…さっきの、修史さんの悲しそうな目が頭から離れない…。


< 136 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop