2人だけの秘密。


今までなら週に2~3回くらいは必ず見ていたのに、今は不思議と全然出て来なくなった。


…何で?


そう疑問に思うけど、なんとなくそれを修史さんの前で口にしづらい。

別に夢にこだわっているわけではないし、出て来なくなったら出て来なくなったでそれでいいのに…。


何か…気になる。



しかし、そんなことを思いながら毎日を過ごしていたある日の夜。

修史さんのマンションに泊りにきていたあたしに、修史さんが言った。



「…あのさ、」

「はい?」

「最近、夢に鏡子が全然出てこないけど…もしかして、鏡子もそうなの?」

「!」



修史さんはそう問いかけると、チラ、とあたしを見遣る。

その言葉にあたしは一瞬驚いたけれど、やがて「…はい」と頷いた。



「最近、あたしの夢にも修史さんが出てきません、」

「そう…、」



修史さんはあたしの言葉にそう相槌を打つと、吸っていたタバコを灰皿の上で潰す。

でも別に、その姿は見た限りでは寂いわけじゃなさそうだ。



…本当、何でかな。

あんなにいっぱい夢で逢っていたのに。



そう思っていたら…



「鏡子、」

「!」



ふいに後ろから、修史さんに抱きしめられた。


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