2人だけの秘密。
夏木さんのその言葉に、絵里奈があたしの切り刻まれた制服を見せて言った。
「っ…これ、夏木さんがやったんですか!?」
「!」
絵里奈がそれを見せると、夏木さんは目を見開いてそれを見つめる。
「…何それ」
「とぼけないで下さい!誰がやったかなんて、この人数の少ない職場じゃどーせすぐにわかるんですから!」
「あたし、知らないわ。とにかく、出勤したなら早く着替えておいで。待ってるから」
夏木さんは絵里奈の言葉に聞く耳持たずにそう言うと、すぐにその場を後にしようとする。
でも…
「夏木さん!」
さっきからあたしにだけ何も言わない夏木さんに不安を覚えて、あたしは夏木さんを呼び止めて言った。
「…なに?」
「あたし、制服がこの状態なんです。どうすれば…」
どうすればいいですか?
だけどその言葉を、すぐに遮られる。
「知らない」
「!」
「…制服がないなら、帰ったら?
あなたはどーせ、最初から遣いものにならないし」
夏木さんは鋭くそう言って、売り場に戻って行った。