2人だけの秘密。
…………
それから数分が経過して、事務室に修史さんが戻って来た。
あたしは修史さんが来るまで椅子に座っていたけれど、すぐにそこから立ち上がる。
「あのっ…」
そしてお礼を言おうとしたら、それを遮るように修史さんが言った。
「鏡子、」
「?」
「ありがとね、正直に言ってくれて」
「!」
「…辛かった、よな?」
修史さんはそう言うと、あたしの頭の上に手のひらをぽん、と乗せる。
その言葉に、あたしは「大丈夫です」と首を横に振りかけたけど、今はそれが出来ない。
だって修史さんが言うように、今回ばかりは物凄く傷ついたし辛かったから。
あたしが思わず泣きそうになっていると、修史さんが言った。
「…でも、もう大丈夫だから。二人にはちゃんと言っておいたし。鏡子はもう何も心配しなくていい」
そう言って、あたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
…修史さん…
「…ありがとうございます」
あたしが涙声でそう言えば、修史さんが優しい声で言った。
「これくらい平気だよ」
そう言って、ふんわり微笑んだ。