2人だけの秘密。
その言葉に、心が痛くなる。
思いもよらぬ現実が、容赦なく胸を締め付ける。
鏡子がこんなに悲しい思いをしていたのに、俺は…
「…その子供が、さっきのミキちゃんなの。下ろすことも考えたけど、生まれてくる赤ちゃんに罪はないから、生むことを決めた」
「……」
俺はあの時、いったい何をしてたの?
「修史さんに正直に言うのも怖くて…。だって、あたしが元カレの子供を生むなんて言ったら、修史さんは嫌がるでしょ?
だから、凄く悲しかったし嫌だったけど、黙って修史さんの前からいなくなろうって、そう決めて…」
「……」
「実家に帰って来た時にたまたま再会した男友達と、結婚したの。その人が、さっきの祐くんだよ」
鏡子はそこまで言うと、「本当にごめんなさい」と再度頭を下げた。
でも…
「…鏡子は謝らなくていいよ」
「え、」
そう。悪いのは、鏡子じゃない。
鏡子が謝ることじゃない。
そもそも、二年前のあの時…俺はなんとなくだけど鏡子の異変に気付いてた。
だけど何も聞かなかったし、何もしてやらなかった。
仕事が忙しいのを理由に、見た感じの鏡子が幸せそうにしてるなら、それでいいかって…。
そして、震えたままの鏡子を目の前にして、心から思った。
俺は最初から、
鏡子の彼氏失格だったんだ。