2人だけの秘密。
急に二人きりになった瞬間、沈黙が襲う。
何から話そうか考えていたら、鏡子がその沈黙を破って言った。
「…ごめんなさい!!」
「!」
そう言って、俺に向かって頭を下げる。
…何の、「ごめんなさい」…?
そんな鏡子に俺はさっきまでのことがショックすぎて、何も言えない。
それでも「頭、上げなよ」って言おうとしたら、鏡子がやがて体を起こして俺に言った。
「二年前、急にいなくなったりして、ごめんなさい」
「!」
そう言う鏡子の声は、震えている。
それに体も微かに震えていて、そんな鏡子を前にしながらも俺はやっと口を開いて問いかけた。
「…何で、急にいなくなったの?」
そう問いかけたら、鏡子が言った。
「広喜くんとの間に、子供が出来たの」
「…は」
「…実は、二年前───…」
俺が固まっていると、鏡子が二年前のことを話し出した。
…───二年前。
俺と鏡子がまだ恋人同士だった頃、ある日鏡子が自分の体の異変に気が付いて、病院に行った。
結果は「妊娠している」と言われ、鏡子はしばらくは「あたしと修史さんの子供が出来た」と喜んでいたらしい。
でも…調べてもらったら、全く違っていて…。
その話の途中で、鏡子が俯いたまま言った。
「あんなに幸せだったのに…修史さんとの子じゃなかったっ…」