2人だけの秘密。
…………
その後、やがて会場に到着すると、俺はミキちゃんの手を引いてそこに入った。
入り口からもう懐かしい顔ぶれがそろっているなか、俺が一歩そこに入ると…
「…、」
…何だろう。
周りから、小さな悲鳴が聞こえた。…気がした。
だけど気にしないフリをして奥に進むと、物珍しそうに辺りをキョロキョロしているミキちゃんが言う。
「ね、パパ!あれ!あれ何!?」
「うん?」
ミキちゃんがそう言って指を差しているのは、デザートコーナーに並んでいる数多くの小さなパフェ。
そんなミキちゃんに「パフェだよ」って答えてやると、ミキちゃんは食べたそうにしてじーっとパフェを見つめだした。
「…パフェ、食べたいの?」
「うん!食べてもいいの!?」
「いいよ、ここにあるものは全部食べ放題だから、」
そして俺がそう言ってやると、ミキちゃんが喜んでそのパフェの方へと向かって行く。
甘いものが好きなところは、やっぱり女の子だな。
そう思いながらもミキちゃんについて行くと、先にパフェのコーナーに立っていた同級生達がミキちゃんに気が付いて言った。
「!…やーん超かわいい!ね、見てみて!ちっちゃい子どもがいる、誰かの子どもかな?」
「あ、ほんとだぁ。ね、お名前は?いくつなの?パパかママは?」
そいつらはそう言うと、笑顔でミキちゃんに視線を合わせてそう問いかける。
…でも、基本人見知りなミキちゃんがその問いにまともに答えられるはずがない。
ミキちゃんはびっくりして即座に顔を背けると、俺の足元に隠れた。