2人だけの秘密。
そのあと夕方の休憩で広喜くんにメールをして、
今日は会えなくなったことを泣く泣く伝えた。
本当は残業なんかやめてすぐに広喜くんに会いたいけど、仕事だから仕方ない。
閉店後、柳瀬店長しかいなくなった売り場に行くと、レジ締めを終えたらしい柳瀬店長が言った。
「じゃ、こっち来て」
そう言うと、あたしを事務室まで連れて行く。
……こんなところで何の仕事をするんだろう?
そう思いながら黙ってついて行ったら、事務室に到着するなり柳瀬店長があたしに小さなカード数枚を渡して言った。
「悪いけど、今日入ってきた商品のポップ書いてくんない?」
「え、」
「ちなみに、これ見本。よろしくね、」
柳瀬店長はそう言うと、他の仕事があるのか事務室を後にしてしまった。
ポップとは、商品のことを書いてあるもので、たまに手書きで作ったりしている。
……っていうか、見本作る時間があるならそのまま本番でポップ作ってくれればいいのに。
もしかして、柳瀬店長は天然か?
あたしはそう思いながらも、ため息混じりでポップを作り始めた。
…この仕事なら、別にあたしいらないし帰っても良さげじゃん…。