2人だけの秘密。
その声に、あたしはびっくりして柳瀬店長から視線を外す。
「な、何でもありませんっ…」
「…、」
あたしがそう言うと、柳瀬店長はそれ以上は何も言わなかった。
…び、びっくりしたぁ。
仕事に集中しよう、
…………
…………
それからポップを書き終わって、それを売り場にある商品の側に飾ると、やっと残業が終わった。
時計を見ると時刻はもう21時を過ぎていて、あたしは更衣室で着替えるとすぐにマンションに帰ろうと裏口のドアを開ける。
すると…
「五十嵐さん、」
「!」
ふいに後ろから、柳瀬店長に話しかけられた。
……げ、もしかしてまだ仕事が残ってるとか?
そう思っていたら、何かの鍵を遊ばせながら柳瀬店長が言った。
「もう遅いし、俺車で来てるから家まで送ってあげるよ」