2人だけの秘密。


柳瀬店長はそう言うと、あたしに目を向ける。

まさかそんな言葉をかけてもらえるとは思ってもみず、あたしがびっくりしていたら柳瀬店長が言葉を続けて言った。



「…あ、ほら、上司として部下を安全に帰らせるのは当たり前のことだし。ね?」



だから、送らせてよ。


柳瀬店長はそう言って言葉を付け加えると、その鍵で裏口を閉める。


…まぁ、確かにこの時間に歩いて帰るのも怖いしな。

あたしはそう思うと、柳瀬店長に車で送ってもらうことにした。



……………



そして、見慣れた街中で柳瀬店長が車を走らせる。

広喜くんは車の免許を持っておらず、だからあたしはお父さん以外の男の人の車に乗るのは、柳瀬店長が初めてだ。

運転している姿をなんとなく横目で見ていたら、柳瀬店長が言った。



「……五十嵐さんってさ、」

「はい?」


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