2人だけの秘密。

突然のことに、身体の全神経が柳瀬店長に掴まれている腕に集中する。

腕を掴まれるなんて思ってもみなくて、あたしが独りびっくりしていたら、柳瀬店長はその腕をぐっと引き寄せてきた。

するとお互いの距離が縮まって、 恋愛経験がただでさえ少ないあたしは、思わずドキドキしてしまう。



「あ、あの…柳瀬店長？」

「…、」



あたしがやっと声を振り絞ってそう言ってみても、柳瀬店長は黙ったまま何も言葉を発しない。


どうしよう…どうしようっ…。


そう思って内心パニクっていたら、ふいに柳瀬店長があたしの左頬 に手を伸ばしてきた。



「！」



その手に、肩がビク、と震える。

どうしたらいいかわからない。

そして逃げることすらも出来ないでいたら、柳瀬店長はそのままあたしの頬を優しく撫でてきた。



「…？」



至近距離で交わる視線に、心臓がうるさいくらいに鳴り響く。

柳瀬店長に聞こえてるんじゃないかと心配していたら、柳瀬店長は少しずつあたしに顔を近づけてきた。



「！！…ちょっ…あの、」

「…」