2人だけの秘密。
だんだん縮む距離に、慌てて柳瀬店長の肩に手を添える。
押し返してもビクともしなくて、 あたしは拒むように思わず目をぎゅっと瞑った。
だめ!だめだってばっ…。
そう思っていると…
「!!」
次の瞬間、突如あたしの携帯が鳴った。
……電話だ。
その音に、はっと我に返る。
そしてあたしは柳瀬店長の肩に添える手に力を入れると、言った。
「お、お疲れさま、でした。…あたし、帰りますね、」
目の前の柳瀬店長に途切れ途切れの言葉でそう言うと、あたしは急いで車を出る。
まだバクバクと高鳴っている心臓を抑えるようにしてマンションのエレベーターの前まで来ると、熱くなっている顔を必死で抑えた。
「…っ…」
キス…
されるかと思った……。