2人だけの秘密。
すると柳瀬店長はビールを少し飲んだあと、言った。
「…いるよ」
呟くようにそう言って、またビールを口に含む。
その返答に夏木さんは残念そうな声を出して、吉河さんは「やっぱりね…」って顔をした。
絵里奈は絵里奈で「あたしには関係ないわ」って顔して大根サラダ食べてるし。
…なんだ。柳瀬店長、ちゃんと彼女いるんじゃん。
だったらどうしてこの前あたしにキスしようとしたのさ。
あたしはそれを思い出すと思わずムカついて、目の前のビールをゴクゴク飲んだ。
…わけわかんない。
もしかして、浮気しようとしたとか?
だとしたら柳瀬店長はサイテーだ。
そう思いながら目を細めて柳瀬店長を見ていたら、吉河さんがそんなあたしに言った。
「…五十嵐さん。柳瀬店長にビー ル、注いであげたら?」
「え、」
「ほら、柳瀬店長のコップ空になっちゃったし。あなた隣なんだから、それくらい注いであげなさいよ」
吉河さんはそう言って、あたしに瓶ビールを渡す。
…え~。
仕方ないなぁ。