妖刀奇譚





脱いだ服を洗濯機に放り込んで風呂場に入る。


すぐに浴槽の蓋を外し、洗面器ですくったお湯を身体にかけてから湯船に浸かった。


1日の終わり、温かいお湯に包まれると心がほっとする。


ベッドの中と湯船の中がお気に入りの場所のツートップだ。


だからついつい長風呂して逆上せてしまう。


たっぷり10分つかってから洗い場に出てシャワーのコックを捻った。


最初に出てくる冷たい水をうっかりかぶってしまい、小さな声をあげる。


お湯になってから髪を濡らし、お気に入りのシャンプーを泡立てて髪に絡める。


洗いながら、かなり伸びてきたなとしみじみ感じた。


前髪は生徒指導を兼ねている学年主任が目を光らせているのでこまめに切っているが他は放置だ。


いつの間にか背中の下あたりまで伸びてきている、この調子だと綾乃の長さに追いついてしまいそうだ。


そろそろ美容院に行かないと、いい加減うるさい。


枝毛ができないよう毛先にコンディショナーをすりこむ。


実央たちの言うとおり思葉には色気もへったくれもないが、かといって放っておけばどんどん廃る。


せめて頭髪くらいはきれいにしておきたい。




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