妖刀奇譚
「えっ、真っ先に怒るとこそっちか?」
「はあ?それ以外に怒るところがどこにあんのよ」
「いや、今すっ転ばせちまったせいで、おまえ盛大にサービスしてたぞ?」
「え?ああ大丈夫だよ、これへっちゃらパンツだし。
めくれても見えるのはスパッツみたいなもんだよ」
思葉はそれがどうしたとでも言わんばかりな調子でスカートの裾をつまむ。
何か言おうと口を開いて、來世は諦めて頭をかいた。
(こいつ、本当に彼氏できんのか……?)
口に出したら怒られそうなことを思いながら靴を履き替える。
それから顔の前で両手を合わせた。
「悪かった思葉。
その上すっげえ申し訳ないんだけど、今から」
「あんたと一緒に富美子(ふみこ)おばあちゃんのところに行けって?」
「大正解」
來世がパチンと指を鳴らす。
その指を折り曲げて思葉はため息をついた。
「またなのぉ?今月入ってもう4回目だよ、何回引っかかれば気が済むのよ」
「それはおれじゃなくてばあちゃんに言ってくれよ」
「あんたが富美子おばあちゃんにしっかり言わないから、押し売りにひょいひょい引っかかるんでしょ。もう助けないわよ」
「ええっ!?」