妖刀奇譚





思葉は口調をきつくして玖皎をさえぎった。


自分が巻き直した柄の拵えに注目する。


疲れていると言いながら饒舌になっているのはそういうことだろう。


しばらく沈黙してから、玖皎が声を低くした。



「……まさか、おれよりずっと幼い子どもに説教されるとはな」


「ご、ごめん……」


「どうして謝る、おまえは正しいと思って言ってくれたんだろう、それなら謝る必要はない。


そう簡単に謝ってくれるな、おまえはもっと自分の言葉や感じたことに自信を持て。


……悔しいが、おまえの言うことはもっともだ。


おれは過去への自責にばかり逃げて、向後のことからずっと目を背けていた。


情けない話を聞かせて悪かった。


せっかく人になれる術を得たのだ、これからは、前に進むことを考えていかんとな」


「玖皎……」



言いさして、思葉は乾いた唇をなめた。


うまい言葉が見当たらない。


同調や同意を示すのもおかしい気がして、黙るしかなかった。




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