【完】狂犬チワワ的彼氏
……まぁ、そりゃそうだけど。
ごもっともな答えだけど。
でも、直樹があたしを映画に誘うなんて、珍しいことだし。
不思議でしかたなくて…。
しかしあたしがそんなふうにモヤモヤと考えていたら、突如直樹がそれを遮るように言った。
「っだーもう!」
「!」
「明日朝の8時に迎えに行くから!」
「!?え、早っ、」
「黙って家で待ってろ!じゃーな、」
そして直樹はそう言うと、半ば強引にあたしを部屋から押し出して、そのドアを閉めた。
「ちょっと…!」
バタン
…って、あたしの意見は聞く気ナシか。
まぁ、いいけどさ。お礼だし。
「……」
ってか、芽衣のこととかも、ちゃんと聞きたかったのに。
チャンスを逃してしまったし。
…明日、聞こう。
あたしはそう思うと、無理矢理に閉め出されたドアに背を向けて、直樹の家を後にした。
………拓海くんには、まだ謝れていないまま…。