【完】狂犬チワワ的彼氏
…………
「おい、起きろよ」
「…んあ?」
そして、それからしばらく経って、直樹のそんな声であたしはふと目を覚ました。
気が付けば、真っ暗になっていた映画館内はもういつのまにか明るく戻っていて、周りのお客さん達がみんなここを出ようとしている。
あたしはその光景をぼーっと見つめたあと、はっと我に返って飛び起きた。
「嘘っ…もう終わっちゃったの!?」
あたし、ほんの最初の部分しか観てないのに!
しかしあたしがそう言うと、直樹がため息交じりにあたしのおでこにデコピンをして言う。
「ばーか」
「!いっ、」
「ぐっすり気持ちよさそうにイビキかいて寝てたお前がわりーんだろ、」
「!?」
「自業自得だ、」
そう言って、「行くぞ」とここを出ようとする直樹。
ああ…そうだ。思い出した。
あたし、映画が始まった直後に直樹の話が気になって集中出来なくて、その後寝ちゃったんだ…。
あたしはそう思いながらも、直樹を追いかけて言った。
「ね、ねぇ!イビキなんてかいてたの!?」
「おー。すごかったぞ。周りの客みんな迷惑そうにしてさー」
「……」
「…嘘に決まってんだろ。本気にすんな、」
そう言うと、可笑しそうにクスクス笑う。
その笑顔に、あたしは安堵して…
…なんだ、嘘か。本気にしちゃったじゃん。
そう思って軽くため息を吐くと、あたしは映画館を出たところで直樹に言った。
「じゃあ、さっそく教えてよ」