【完】狂犬チワワ的彼氏


俺はそう言うと、リビングの隅にあるゴミ箱を指差す。

俺の言葉に、智輝が「え、捨てんの!?」ってびっくりしてたけど、「やる」って言葉はやっぱり撤回。

だってこの手紙、いくら何でも気持ち悪いし。


俺がそう言うと、龍也は「わかりました」って早速その手紙をゴミ箱に捨てた。



けど、



「……でも、変ですね」

「…?」



その手紙を捨てた直後に、龍也が言った。



「何が変なんだよ」

「何がって、だってこの手紙にはそもそも切手が貼ってありません。これって、誰かが直接郵便受けに入れたってことですよね?」

「!!」



龍也はそう言うと、



「…拓海さん。誰か、心当たりはないんですか?」



って、そう問いかける。


…龍也に言われるまで、本当に気がつかなかったけど、言われてみればその封筒には、あるはずの切手がない。

その言葉に、更に不気味さが増して気持ち悪くなる。


だって、直接郵便受けにって…



っつかそもそも、郵便局を通っていても不思議なのは変わらない。

だって俺の家の場所は、友達すら誰も知らないはずなのだ。


そう。あの妃由すらまだ、知らないくらいなのに。


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