【完】狂犬チワワ的彼氏


「っ、ごめんなさい」

「!」



あたしはキスをされる手前で、そう言って、龍也くんの肩を押しやった。



「…ごめんなさい…あたし、龍也くんとは付き合えないよ」



…確かに、龍也くんと付き合ったら、龍也くんの方があたしのことを大切にしてくれるかもしれない。

一緒に居て居心地がよさそうだし、それなりにも楽しめるし、いちいち「何を言われるか」って怯える必要もきっと無い。


だけど…



「何でだろう…。あたしはそれでも、拓海くんがいいの。

どんなに酷いことを言われても、どんなにそれに怯えても、絶対拓海くんじゃなきゃ嫌なの。だから、龍也くんとは友達のままでいたい。ごめんなさい、」



あたしはそう言うと、ちゃんと龍也くんの目を真っ直ぐに見据えた。

…あたしの気持ちはきっと、今までもこれからも、揺れ動くことは無いから。

そしてあたしの言葉をきいた龍也くんは、次の瞬間ため息交じりに言う。



「…そう、ですか」

「うん。…あ、でも、友達は友達だよ。それは変わりない」



そう言って、「これからもよろしくね」なんて言葉を続ける。


しかし、あたしがそう言った、その時───…



突如、あたしの携帯に、着信がかかってきた。

その音と振動に少しビックリしてしまったけれど、なんとなく、直感ですぐにわかった。


拓海くんだ。


あたしがそう思って携帯を開いてみると、相手はやっぱりその人で。

…もしかして、仲直りの電話かな!?

そう思ってすぐに電話に出ると、その向こうから愛しい…



だけど、残酷な言葉が聞こえてきた。



『……ごめん、妃由』

「ううん、今朝のことなら全然、」


『じゃなくて。



突然だけど…



俺と別れてほしい』


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