【完】狂犬チワワ的彼氏
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「そりゃあ、初めて話す女にいきなり告白されたらキモイだろ」
「え~…」
そして、木塚くんに告白をしたその後の図書室。
あたしは、親友で同じクラスの加藤直樹にさっきのことを愚痴っていた。
直樹とは中学の頃からの仲で、あたしとゲームの趣味が一致して仲良くなった。
そして今もよくお互いの家に行き来したりしてゲームの対戦をしているけど、恋愛は全く無い。
あたしは図書室のカウンターで本を読んでいる直樹に、ため息交じりに言った。
「…だって好きなんだもん。木塚くん、カワイイし女の子にモテるから不安で…。
今彼女いないって噂だったから、これはチャンスだと思って」
「だからってお前…ちゃんと考えろよ」
「考えたよ!でもさ、普通“キモイ”とかはっきり言う!?超~傷ついたよあたし!」
そう言って、右手でカウンターをバシッと叩く。
…でもその瞬間他の生徒の冷たい視線が一気に刺さってきて、
それから顔を背けるとあたしは静かな口調で直樹に言った。
「…やっぱり、諦めるべきかな?」
そう言うと、直樹はかけている黒縁メガネをくい、と上げて言う。
「当たり前だろ。その様子じゃ期待するだけ無駄」
「…だよねぇ」