偽の愛などいらない


人だかりに入ったら、結月が泣いていた。






怯えている様子だった。







「結月、どうした?」






「ヒック、ヒッ、ウウッイヤぁ。」







いやいやと言って何を言っても泣いてるだけだ。






おばあさんもハラハラしてるし....






「結月ちゃん?どうかしたの?」








泣きっぱなし。






走って、早紀ちゃんがよってきた。







「結月っ!あんたどうしたの?」






「いやぁ」







「........お酒飲んだ?」








早紀ちゃんの目の色が変わった。






「結構飲んでましたよ?」







親父の秘書が言った。






ちなみに、親父は社長だ。







「葵さん狙いの女の人に飲まされてました。」






「はぁ....葵くんここホテルだから部屋とって寝かしてあげて?
この子、お酒飲んだらいろいろ思い出しちゃうの。」







「分かった。」







結月の腰と膝裏をもって抱き上げた。







部屋に行く間、結月は俺の胸に顔を押し付けたまま泣いていた。







部屋に入るとベットに結月をおろした。






でも、俺に抱きついたまま離れない。







「お母....さ....ん........お....父さ........ん、行かないで。」







「葵........せん.......ぱ....いっ」







結月の俺を抱きしめる力が強くなった。






結月の頭を撫でると、







胸に顔を埋めたまま話してきた。







「早紀ちゃん、私....お酒飲んじゃった........えへへへ。
葵さんの会社の人に、渡されたお酒も飲まないなんて礼儀がなってないって。」






結月は俺を早紀ちゃんだと思っているらしい










「早紀ちゃん、私....葵さんにホントのこと言えなかった。駄目だね。
ホントのこと言うの怖いみたい。」







なんのことだ?






そのまま、結月は眠ってしまった





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