domino
24
 ピピピ・・・・・。
 いつもの朝と同じように、携帯が僕に朝を告げた。いや、むしろいつもより調子が良いくらいだ。昨日の激痛は本当の事だったのか、自分でも自信が持てなかった。酔ってそんな夢でも見たのだろうか、そんな事を思いながら朝の支度を始めた。
 歯を磨きながら、雑誌をパラパラめくり最終確認をした。何度見ても、何度見ても不安が拭えなかった。本当に彼女に話を合わせる事が出来るのか、そればかり考えていた。
 「彼女が一番読みそうな雑誌はこれかな。」
 昨日買った中から1冊の雑誌を選び、鞄の中に入れて駅に向かった。
 駅が近づくにつれ、昨日とは違った緊張がどんどん僕に襲いかかってきた。やはり今日も手は汗でぐっしょりになっていた。
 駅に着いてからも、電車が来るまで、電車に乗ってからも隣の駅に着くまでギリギリまで僕は雑誌に目を通した。1文字でも多く知識を吸収しようと必死だった。
 でも、駅のホームに彼女を見つけると、慌てて雑誌を鞄の中にしまい込んだ。
 電車のスピードが徐々に落ち、ゆっくりと扉が開いた。彼女が1歩、また1歩と近づいてきた。彼女が一歩ずつ近づくたびに、僕の心は焦りでどんどん自分を見失っていった。
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