domino
 総動員した結果がこれだ。彼女はその答えを、彼女自身に都合の良い方に捉えてくれたらしくこう続けてきた。
 「そうなんですか。良かった。どんなライブとか好きですか?」
 「ええとですね。」
 その数文字を答える間に、再度、知識を総動員した。でも、気の利いた答えなど思いつきはしなかった。
 「う~ん。」
 少しでも時間を稼ごうと、もう数文字足してみた。その時には、僕の知識は白旗を揚げ、あの声を望んでいる僕がいた。
 「あの声、聞こえて来い。あの声、聞こえて来い。」
 心の中で繰り返し、繰り返し祈っていた。早く聞こえて来い、早く聞こえて来い、もう頭の中にはそれしかなかった。
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