domino
僕の心を見透かしたかのような質問がすぐにやってきた。一瞬で、あの声が聞こえるまでの時間を稼がなくてはと思った。そう思っているにも関わらず僕にはこんな返事を発する事しか出来なかった。
「う~ん。」
たった数文字の時間稼ぎしか出来なかった。
「う~ん。」
なかなか、あの声が聞こえてこない。どうして良いかわからず、彼女の後ろにあるつり広告を眺めた。一瞬、今の僕に必要な言葉が見えた気がした。彼女に気がつかれないように、もう一度その方向を向いた。やはりあった。
“ポルノグラフィティ ベストアルバム発売”
白地に書き殴ったような赤い文字のポスターがあった。そのポスターをなめるように見回した。
“収録曲 1 ジョバイロ 2 ネオメロドラマティック 3ミュージック・アワー 4・・・”
収録曲を順に見ていった。
「ジョバイロ・・・。何語かな。よくわからないとその後、会話が続かなそうだし。」
「ネオメロドラマティック・・・。これもわからない。懐メロならわかるけど・・・。」
「ミュージック・アワー。これだ。これならわかるぞ。音楽の時間って事だよな。」
わかったと同時に彼女に答えた。
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