domino
31
 「ポルノグラフィティ。ポルノグラフィティ。」
 そう言いながら、僕は店内を廻った。やっと見つけたそこには、膨大な数のCDが並んでいた。あまりの多さにどれを手に取って良いかわからなかった。仕方なく店員に確認してみようとレジの方に向かおうとした時、肩をポンと叩かれた。
 「大河内さん。」
 振り向くと彼女の指が僕の頬にささった。
 「鈴木ひゃん。」
 また、彼女に醜態をさらしてしまった。でも、彼女はそんな僕の顔を見て喜んでいた。
 「相変わらず面白いですね。」
 やっぱり、彼女の笑顔は最高だった。そして、あの声があそこまでして僕をこの店に連れてこようとした理由もわかった。
 「こんな所で何しているんですか。」
 この質問にどう答えていいかわからなかった。ポルノグラフィティのCDを買いに来たと言えば、ライブに行った事やそれ以外の事もすぐに嘘だとばれてしまうような気がした。かといって、下手に嘘でも付けば墓穴を掘る可能性が高かった。僕には秋葉系の音楽しかわからなかったからだ。
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