domino
56
 「大河内君。」
 真剣なその表情に僕はただ黙っているしか出来なかった。さっき話した仕事の事は問題がないと思っていた。だから、その表情から社長が僕に何を言おうとしているのかが、全く想像できなかった。
 「何か悪い事したか?」
 焦りだけが先行し、自分が今どうしたらいいのか不安だけがどんどん膨らんでいった。じんわりと汗が滲んできた。一瞬で、のどもカラカラに乾いてきた。1分が1時間にも、いや1秒が1時間にも感じた。
< 214 / 272 >

この作品をシェア

pagetop