domino
 そんな事を考えていると僕の体は車のシートに押しつけられた。息をするのも困難に思えた。そう思った途端に今度はダッシュボードが目の前に迫り、すぐに目の前のビルが、街が、横に流れ出していた。何が起きているのか、いったい生きているのか、それとも死んでいるのか、そんな事すらわからなかった。ただ、エンジン音とタイヤの軋む悲鳴のような天を引き裂くような音だけがそこにはあった。
 
 「これが本当の私です。」
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