domino
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 目の前にある大きな教会を友里と見上げた。それから二人で顔を見合わせて思い切り笑った。
 「いよいよだね。」
 そう笑顔で彼女が僕に言った。
 「そうだね。」
 僕も彼女に負けないくらいの笑顔で返した。今日は僕らの結婚式だった。式は夕方からなのに、僕らはだいぶ早く着いてしまった。それだけ、まるで遠足前の子供のように楽しみにしていたのかもしれない。辺りを見回すとちょうど教会の人が掃除をしていた。
 「ねえ、あの人に写真撮ってもらわない?」
 友里はそう言って鞄からデジカメを取り出した。
 「このデジカメ、ダントツに綺麗に撮れるらしいよ。」
 そう言いながら、友里は教会の人の方へと走っていってしまった。
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