domino
 仕方なく神田に聞いた。
 「あの日?あの日って何の事だ?」
 このまま、なめられているのも癪だと思い少し口調を強めて言った。
 「あんな事をしておいて覚えていないとはたいした神経の持ち主だな。」
 いくら神田がそう言っても、僕はあの声が言っていた通り何も覚えていなかった。
 「だから、知らないと言っているだろ。」
 僕の口調に本当に知らないと思ったのだろうか、少し黙って神田は考え込んだ。そして、大きく息を吸い込み何かの準備をしているようだった。
 「じゃあ、これを見せれば思い出せるかい?」
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