ピアノを弾く黒猫
あたしは今、黒田くんと共に、あたしの家の中にいた。
「良いんですか?」
「別に構わないわよ。
この間くれた花束のお礼でもあるしね」
「ありがとうございます!」
あたしたちは、ピアノの前に並んだ。
「じゃ、行くわよ」
「はいっ」
あたしたちは同時に、ピアノの鍵盤に指を置いた。
そして弾きだした。
黒田くんがあたしにしてきたお願い事。
それは一緒に連弾をしたいんだ、というシンプルなお願いだった。
今お父さんもお母さんも仕事中だから、家には2人しかいない。
だから思う存分弾けた。
部屋の中に、ピアノの綺麗な音色が響く。
黒田くん、ピアノ弾けるんだ。
今弾いている曲は、かなり名の知れている曲だとはいえ…。
指の使い方がとてもしなやかで。
ピアノをやっていたんだな、と思えるほど、上手だった。