ピアノを弾く黒猫







「……生島さん。
俺、生島さんが優子さんを思う気持ちと同じぐらいの強さで、生島さんを愛している人知っていますよ」

「僕を…愛してくれる人………?」

「はい。
菱川奈々恵さん、ご存知ですよね」

「ああ……」

「あの人は生島さんが大好きなんですよ。
生島さんのためなら犯罪も犯せるぐらいにね」

「奈々恵さんが……?」




生島くんと同じく、あたしも驚いた。

奈々恵さんが、生島くんを、愛していた?

初耳だった。





「何故奈々恵さんが俺を優子さんの元へ送ったか、教えてあげましょうか?」




生島くんが頷いた。





「奈々恵さんは、生島さんと正反対のことを思っていたんですよ。
生島さんは奈々恵さんが俺を呼ぶことで、優子さんと付き合うつもりでいたんですよね?

奈々恵さんは、逆です。
生島さんと優子さんが別れることを願って、俺を優子さんの元へ送ったんです。

生島さんが俺が現れることによって優子さんと別れ、自分と付き合うよう奈々恵さんは願っていたんですよ」




奈々恵さん、生島くんと付き合いたかったから、黒田くんをあたしの前に来させたの?

あたしと黒田くんが付き合うことによって、生島くんが奈々恵さんと付き合うようになるために。




黒田くん…奈々恵さんに送られたって、どういうこと?

黒田くんは、奈々恵さんに弱みでも握られているのかな?








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