ピアノを弾く黒猫







「優ちゃん…?
何を言い出すんだ…?
優ちゃんは僕のこと好きなはずだろ…?」

「勘違いも程ほどにしてほしいわ」




あたしは溜息をついた。




「確かに生島くんのことは好きよ。
だけどその好きは、由香に抱く好きと同じ、友達に対しての好きよ。
悪いけど、あたし生島くんを恋愛対象には見れないわ。

生島くんがあたしを好きな気持ちは、十分にわかったわ。
あたしも生島くんを好いていたら、その一途で真っ直ぐすぎる気持ちを喜んで受け止めていたわ。

だけど、あたしは生島くんが好きじゃないの。
だからその気持ちは、嫌としか感じられないわ。

ごめんなさい。
好きだと言ってくれて、嬉しいわ。
生島くんのこと、誰も好きじゃなかったら好きになっていたわ。

ごめんなさい、生島くん。
あたしは……黒田くんが好き………」





きっと、一目惚れだったんだと思う。

黒田くんがあたしの前に現れた時から。




好きだったから、白薔薇の蕾の花言葉を知った時大嫌いだと感じたんだわ。

嫌いよ、嫌い、黒田くんなんて大ッ嫌い。





だけどそれ以上に






大好きなの。






< 60 / 76 >

この作品をシェア

pagetop