満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
『うん……けど、こんなに激務だなんて思ってもみなかった』
「康太さん……何も言わないの?」
麻衣子が心配そうに見てくる
『うん、9年間のことを考えたら私を毎日見れるからって……』
「……9年の康太さん……確かに見てらんなかったな……」
麻衣子の言葉が少し痛かった
「で、どうなの?ちゃんとやってるの?」
……は?
あ……
麻衣子は興味津々な顔をしてる
『……まぁ……普通だよ』
「歯切れが悪いな〜……もしかして……」
麻衣子はあの事を知っている
けどもう10年も前の話
『そんなんじゃない、ほら、激務だから時間が合わないとかあるし……』
「あ〜確かに」
納得してくれた麻衣子
けど……本当はそうなんだ
慣れると自分でも思っていた
でも違ったんだ。
毎回……頭に過るあの男……
康太に気づかれないように
康太に抱きつく
気づかれたくない……
頭から消したくて
康太の顔を見て康太を呼ぶ
そうすることで震えも止まる
けど、決してする行為が
いいものだと思うことはない
自分から求めることもない。